アメリカのレイセオン社は世界有数の軍需企業であり、世界最大のミサイルメーカーである。社名のRaytheonとは古代フランス語とギリシャ語を合成した造語で「神々からの光線」という意味である。
自衛隊もこの企業からはパトリオット、スタンダード、スパロー、アムラーム、サイドワインダー、ファランクスといった様々な兵器を導入してきた。
そのレイセオンは今や、軍事用パワードスーツの事業化に向かうつもりらしい。
WIRED VISION 「装着する外骨格」パワードスーツの実演
http://wiredvision.jp/news/200711/2007112722.html
このパワードスーツはSarcos社が開発した物で、レイセオンは同社のロボット事業を買収したとの事である。
見ての通り、このパワードスーツは小型であり、軽快に動く事が出来、重量物を容易に持ち上げることが出来る。この技術が発展すれば、いずれ防弾レベルIVの(15mの距離でライフル徹甲弾に耐える)ボディアーマーとヘルメットを装備したまま100kgの荷物を背負い、軽機関銃と擲弾発射筒を装備して起伏の激しい地帯を楽々50km行軍というような事が出来るようになるかも知れない。
このようにパワードスーツといえばついつい歩兵に装備させる事ばかり思い浮かべてしまうが、実際にはそんなSF的な使い道の他に、例えば砲迫を運用する際や物資を積み下ろしする際に素早く軽々と重量物を運搬する、あるいはトラックが入れない山中や建物内に重機材を搬入する、などといった用途にも大きな軍事的価値がある。
DARPA(米国国防高等研究計画局)が出資して研究中の「ロボットろば」も、そのような補助的な用途を想定している。これは兵士に随伴して荷物を運ぶロボットである。
WIRED VISION 戦場で活躍するか?「ロボットろば」
http://wiredvision.jp/blog/dangerroom/200707/20070720134328.html
アメリカは先端軍事技術において世界最高のものを持っている。それは何故かというと、米軍の戦争経験云々などよりもまず第一に、膨大な研究開発予算によるものである。
アメリカが軍事技術の研究開発に投入する年間予算は何と約700億ドル(2005年度)、日本円にして約8兆円である。つまり研究開発費だけで、日本の防衛予算(約5兆円。なお研究開発費は約1500億円)を遙かに超えているわけである。研究開発予算を直接比較すると、驚くべき事に日本はアメリカの約2%に過ぎない。日本のGDPは、アメリカの半分近くであるにも関わらずである。
この、他国が全く比肩し得ない潤沢な予算を使ってアメリカは世界最高の先端技術を開発し、他国の軍隊に対する圧倒的なアドバンテージ、「対抗不能性」を備えようとしている。
パワードスーツやロボットろばのような補助的な新技術の積み重ねも対抗不能性を生み出すひとつの手段だが、対抗不能性の例として非常に判りやすいのはこの研究だろう。
米軍、極超音速爆撃機開発に1億ドル投入=WP紙
http://www.chosunonline.com/article/20071113000034
この計画「ファルコン」では、高度3万〜4万mをマッハ5以上で飛行する爆撃機を開発する。
これはつまり、現在の防空技術ではどこの国も全く対抗出来ないという事だ。また航続距離は2万kmにも達し、全地球を爆撃圏内に納める事が出来る。
上の記事によればこの極超音速爆撃機は小型ロケットで打ち上げられるが、その為の小型ロケットも平行して開発されるという。そしてそのロケットは衛星打ち上げ用としても利用される。今までもこうした軍事技術からのスピンアウトによってアメリカの宇宙開発は発展してきた。
先端科学技術を制する国は世界を制する。中国も宇宙開発や先端軍事技術開発に膨大な予算とリソースを投入している。日本も今後技術的後進国に成り下がらないよう、予算や開発体制を余程強化する必要があるだろう。
2007年12月15日
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/73021714
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック
http://blog.seesaa.jp/tb/73021714
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック

