2005年04月19日

禁苑の薄明

 清朝末から満州建国に至る歴史を記した名著、Reginald F. Johnston著「TWILIGHT IN THE FORBIDDEN CITY」邦題「紫禁城の黄昏」の完全版が祥伝社から刊行され、好評を博している。
 http://www.sankei.co.jp/news/050418/boo019.htm

 またネット上でも、ブログという形で邦訳を提供している素晴らしいサイトがある。まだ翻訳途中だが、戦前に刊行された邦訳の画像など関連情報が充実している。
 「復刻・禁苑の黎明−Twilight in the forbidden city」
 http://nishio.main.jp/nichiroku/

 この本は以前岩波書店によって、「著者の主観的な色彩の強い部分」を削除した不完全版として刊行されていた。この削除された部分には、満州国建国に関する戦後の歴史認識を一変させ得る記述が含まれており、訳者の政治志向によって恣意的に削除した物と思われる。
 これまでこの本の完全版を容易に入手出来ない状況にあった事は、歴史研究者にとって大変な損失であった。

 ところで、この本の「TWILIGHT IN THE FORBIDDEN CITY」という題は、1934年に最初に邦訳された時は「禁苑の黎明」と訳され、1935年には「禁城の熹光」と訳されていた。岩波書店はこれを「紫禁城の黄昏」と訳し、祥伝社もこの邦題を使っている。
 「FORBIDDEN CITY」については、個人的にはこれを「禁苑」とした1934年の名訳を支持したい所である。勿論、普通に訳せばFORBIDDEN CITYは「紫禁城」であるから、この点で普通の訳をした岩波や祥伝社に文句はない。
 問題の「TWILIGHT」だが、これは「薄明」という意味であり、日没の薄明(黄昏)と日の出の薄明(黎明)、両方の意味に取る事が出来る。原著者のジョンストン自身、序論でこの事について触れ、「日没の薄明と日の出の薄明がある」と書いている。その著者が単に「TWILIGHT」としている以上、邦題は黎明でも黄昏でもなく「薄明」とすべきだったのではないだろうか。
posted by amano at 18:13| Comment(0) | TrackBack(1) | 歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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